第6章 《WT》モテ期がきたようで…
しばらく言われていることが何なのか分からなくて理解するのに5秒かかった。
「ちょ…!ゆ、遊真!?」
「俺さ、アリス先輩のこと好きだし」
「いや…遊真のことは好きだけどさ…遊真が思ってる好きと多分、違うような」
「それならこれから俺のこと好きになればいいよ」
遊真の顔が近い。小さいながらに一撃でネイバーを倒す程の力があるのだ。やっぱり、遊真だって男だ。
「結果…聞かなくていいの?」
「後でも聞けるし」
全然引いてくれないし…。どうしようもないな。
「アリスせんぱ」
「栞ちゃーん!!」
仕方ないので栞ちゃんを呼ぶことに。それには遊真もあっさり身を引く。
「はいはーい?どうしたのー?」
「どっちが勝ったの?」
「んふふーなんと遊真くんでーす!」
「良かったじゃん、遊真ー」
「…どうもー」
あまり嬉しそうじゃない遊真。まあ、悪いことしたなとは思ったが、流石にあのままでは拉致があかなかっただろう。
「なんかあったの?」
「ううん!なんでも!」
「そう?あーそれと忍田本部長が呼んでたよー」
「忍田本部長が?なんだろ」
「大事な話だって」
忍田本部長が直々に大事な話をしてくるとは…何か重要な任務か何かだろうか。ベットから起き上がり、待機室を出て、玄関に続く廊下を歩いていると…。
「あれ、アリス先輩」
「烏丸ーバイト帰り?」
「そうです、アリス先輩はこれからどちらに?」
「本部にねーちょっと用事」
そう言って烏丸の横を通りすぎようとした時、腕を引かれて後ろから抱き寄せられた。
「と、烏丸…!?」
「先輩、知ってましたか?」
「な、何を?」
「異性に胸、揉んでもらうと大きくなるらしいですよ」
「…揉む胸すらないわ」
「そんなことないですよ」
そう言ってなんの断りもなく胸に手を当ててきた烏丸。なんと言うか…恥ずかしげもなく良くやるなーと。
「本部に行かなきゃいけないのよ、烏丸」
「少し大きくなりました?胸」
烏丸まで可笑しい…普通こんなことしてこないと言うのに。
「人の話は聞きなさいよ、烏丸」
「聞いてますよ、好きです、先輩」
「聞いてないし…」
またもや拉致があかないので無理矢理、烏丸を引き剥がし、玉狛支部を後にする。