第5章 《ダイヤのA》好きになってはいけない
「楽しかったージェットコースター」
「次は何乗ろうかー?」
その後、お昼を挟んで色んな乗り物に乗り、それなりに楽しく遊んだ。これなら無事に終えられそうだ。
「最後は観覧車ね!」
意気揚々に観覧車に向かう友人。
「どした?千夏?」
「…私」
高いところが苦手だったのだ。それを言う間もなく観覧車に御幸くんと二人して乗り込む。
「へえー結構景色いいな」
「そ、そうだね…」
外を見ないよう目を瞑って答える。景色を楽しんでいる余裕などなかった。早く終われとただ願った。
「もしかしてさ、高いとこ苦手とか?」
「う、うん…残念ながら…」
目を瞑っていて御幸くんの顔を伺うことは出来ないが、もしかしたら御幸くんは呆れた顔をしているかもしれない。
「残念ながらって、むしろ嬉しいとこだけどな」
「え?」
フワッと御幸くんの匂いがしたかと思うと優しく頭を引き寄せられ、御幸くんの肩に額を置く形になった。流石に驚いて目を開ける。
「少しは平気か?」
「うん…///」
御幸くんの匂い、体温に酔いそうになる。このまま、身を委ねてしまいたくなる。でも、これは演技だ、御幸くんに迷惑を掛けてはならない。
「千夏」
「なっなに!?///」
耳元で囁かれ、思わず声が裏返る。
「なんでそんな緊張してんだ、まあ俺もしてるけどさ」
「え?」
「好きなんだ、千夏」
「み、御幸くん?///」
思わぬ告白に御幸くんを顔をまじまじと見てしまう。御幸くんも頬を少し染めて話を続けた。
「前はさ、彼氏がいるのに好きになってどうしようとか考えて、諦めようとも思ったけど…やっぱり、無理だった」
なんだか御幸くんに悪いことをしたような気分だった。
「好きだ」
《御幸一也side》
告白をした。今しかないと思った。彼氏がいないと聞かされた時、自分にもチャンスがきたと思った。
「御幸くん…」
小さな千夏の声を聞いた。
もし、仮に好きだと言われたとして俺の性格の悪さを見たら…幻滅するだろうか。
「私に本当の御幸くんを教えて」
「っ!」
「私はまだ、御幸くんのことを何も知らない…だから教えて」
「俺は…」
色々話した。千夏は真剣に俺の話を聞いてくれた。性格が悪かったり、はっきりとものを言うのも。…その為か昔はよく先輩に嫌がらせをされたことも。