第5章 《ダイヤのA》好きになってはいけない
理由を聞くと友達からダブルデートをしようと言ってきたのが事の発端らしい。断れずに今度の日曜日に出掛けることになったらしい。
「今度の日曜日って大丈夫?」
「しばらく試合もないから平気だとは思うけど…」
「良かった、この際だからメアドとか交換してもいい?」
「おう」
互いにメアドを交換して一息つく。
「んじゃ、俺部活だから」
「あっありがとう!御幸くん!部活頑張って」
「あぁ」
中庭から校舎に入って長い長い息を吐く。心臓はバクバクと早鐘を打ち、頬はやけに熱い。こんなのでやっていけるのか…。
日曜日ー
「ご、ごめんっ遅刻したっ」
息を切らして改札を出てきた篠崎は白いワンピースにカーディガンと言う格好だった。
「千夏ー彼氏って他校じゃなかったの?」
「前に別れてくれって言われちゃって…」
「御幸くんに乗り換えた訳ね」
「の、乗り換えた訳じゃ…」
「御幸くんなんて有望株じゃないっ」
コソコソと話しているようだが大体聞こえる。
《篠崎千夏side》
友人に小突かれ、少し照れてしまう。本当の恋人ではないがちょっと嬉しい。
「千夏」
「へ?きゃっ」
「あんまり、千夏をいじめてくれるなよ、俺のだから」
グイッと引き寄せられ、ぴったりと御幸くんの二の腕にくっ付く。思わず、御幸くんの顔を見る。得意気に余裕の表情で喋っていた。
「流石、御幸くんね」
「ハッハッハッ」
凄い演技力だ。今日は遊園地に行く約束をしていた。入場券を買い、いざ場内へ。
「御幸くん…」
「ん?」
「い、いつまで手繋いでればいい?」
「ずっと」
「え!?/////」
「手繋がずに歩くものおかしいだろ、バレたくないんだろ?」
「た、確かに」
御幸くんの大きな手に包まれ、手に汗をかいてないか心配になってきた。
「千夏ージェットコースター平気?」
「うん!むしろ、大好き!」
昔からジェットコースターは大好きだった。御幸くんも平気そうで良かった。