第3章 《Free!》サプライズバースディ
出来上がったものの不格好極まりない。
「む、難しいね、お婆ちゃん」
「馴れれば簡単だよ」
「流石、お婆ちゃんだよー」
食べないのも悪いのでせめて凛ちゃんに見せてから自分で食べようと思った。
「漆、そろそろ出掛ける時間じゃないかい?」
「あ!ホントだ!行ってくるね!お婆ちゃん!」
荷物を持って家を出る。携帯を取り出し、今度は愛ちゃんに電話を掛ける。
《松岡凛side》
「漆からメール来てたのか」
部活が終わり、携帯を覗くと漆から誕生日メールが来ていた。メールだけでも嬉しくなる。
「漆さんからメール来てたんですか?」
愛が隣で聞いてきた。画面を見せると楽しそうに笑っていた。すると、愛の携帯がなった。どうやら電話らしい。
「はい、もしもし」
愛はしばらく誰かと喋った後、飲み物を買ってくると言い、慌てたように出ていった。
「騒がしいやつだな」
再び、画面を見る。キャラクターがカクカクと動きながら次々変わる。嬉しいもののやっぱり、会いたい。夏だけと言うのが何よりもどかしい。
コンコン
「ん?はーい」
誰かが訪問してきたらしい。玄関に行き、ドアを開ける…が、誰もいない。と思った瞬間…。