第2章 《ハイキュー!!》埋まらない距離
「まだ、落ちてない!まだ、負けてないよ!」
2セット目はこちらが取った。これで同点。次で決まる。
相手側も苦戦しているようでなかなか点差を広げられないようだ。このまま、もう1セット取れれば。
《野島薫side》
このまま、いけば…勝てる!集中を切らせちゃダメだ!
だが、相手も負ける気などさらさらない。どんどんと追い上げてくる。気がつけば24対20だった。向こうのマッチポイント。
「大丈夫!まだ、追い付けるよ!」
「うん!」
向こうがスパイクを打ってきた。それを拾い、セッターに持っていく。ここから一歩も譲らない戦いだった。どちらもボールを落とさず、必死に食らい付く。
「ハア…ハア…」
しんどいくらいに息が上がる。でも、負けたくない。勝って…ノヤさんに笑顔で言うんだ…。
相手がスパイクを打って…最初の人は囮で後ろにいたもう一人の人が打った。私は必死になって走り、ボールを取ろうとしたが…。
ピピーッ
間に合わなかった。試合は2対1で負け。
***********************
「薫さん…」
自宅の玄関で座っているとノヤさんが目の前に立っていた。
「ノヤさん…ごめんね、負けちゃった」
「けど、凄かった…あんなボールまで拾うんだから」
「ノヤさんには敵わないよ…あーぁ!試合に勝ったら告白しようかと思ったのにっ」
もう、ヤケに近かった。この際、告白してすっぱり断られて忘れよう。その方がすっきりする。
「だ、誰に!?…例の好きな人…とか?」
「うん」
「そ、そっか!薫さんなら大丈夫!頑張ってこい!」
「…好きだよ、ノヤさん」
「え?」
驚いたような声を出すノヤさん。それもそうだ、まさか私に告白されるなんて微塵も思っていなかっただろう。
「ノヤさん、きっぱり断っていいんだよ?」
「なんで?」
「え?な、なんでって…ノヤさんが好きなのは潔子で…」
訳が分からない。ノヤさんは潔子が好きだと言っていた。
「潔子さんは勿論、好きだ!でも、潔子さんは女神のような人だから俺が独り占めするわけにはいかない…!」
なんか語り始めた。
「薫さんの事、前からずっと好きだったんだよ…この前、好きな人がいるって言ってたから諦めようとしたんだけど」
耳を疑った。ノヤさんも…
「薫さんと俺、両思いだったんだなっ」