第2章 《ハイキュー!!》埋まらない距離
土曜日ー
やっとの休日、今日もノヤさんの家で朝から練習に付き合う。
「薫さん、今度の土曜日、試合だよな?」
「うん、それがどうかした?」
「いや!頑張ってこいよ!ってこと!」
「ありがとう、勿論勝ってくるからね!」
ノヤさんはどんなボールでも取れるようになりたいと言っていた。平日はママさんバレーに混じったりしているとも聞いた。並々ならぬ努力に私も尊敬している。
「少し休憩挟もう、ノヤさん」
「おう!」
縁側に座り、水分を補給する。隣に座るノヤさんをチラリと見る。私より少し背が低い、でも体つきは男子そのものだ。
「ノヤさん」
「ん?」
「ノヤさんはさ…好きな人とかいないの?」
「潔子さん!!」
「アハハッ、やっぱりか」
「潔子さんに早く会いたいな!潔子さんがいるところはいつでも清らかだからな!」
やっぱり、敵わない…。潔子は綺麗だし、色気もあるし…。楽しそうに喋るノヤさん、楽しそうにしてるのは私も嬉しいのだが寂しくもなる。
「そうゆう薫さんは?」
「え!?わ、私はー…」
「?」
「いるんだけど…その人にはさ別に好きな人がいるんだよ…だから」
「諦めるのか?」
「え?」
「諦めたらそこで終わりだろ?バレーも一緒、諦めずにボールを拾えばいつか得点に繋がる!」
「…そうだね、頑張ってみるよ」
ノヤさんにいつも元気を貰う。諦めないで私はノヤさんに気持ちを伝えられるだろうか。
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「潔子、私も手伝うよ?」
「あ、ありがとう、薫」
廊下で潔子が重そうに何かを運んでいたので手伝う。中身は新しいジャージとユニフォームだった。
「これ、全部手直しするの?」
「うん」
「大変だね、マネージャーも」
「本当に大変なのは選手の方だし、私にはこれくらいしか出来ないから」
潔子、こういうところ好きだわ。烏野のジャージやユニフォームを見ながら、ノヤさんも戻ってきたら着るんだろうなと考える。