第2章 《ハイキュー!!》埋まらない距離
「薫ー!」
「あ、どうしたの?咲樹?」
「今度の試合、頑張ろうね!今度こそ、勝つよ!」
「うん、当たり前でしょ!」
私、野島薫は烏野高校女子バレー部である。ポジションはリベロ。レシーブが皆の中で上手いと言うことからなった。
試合と言っても練習試合だ。大会はまだ先である。
「薫ってさ、彼氏とかいないの?」
「え!?い、いないよ!なんで?」
「こんなに綺麗な顔立ちしてて面倒見いいし…不思議だわー」
「いやいや、そんな事ないし!」
体育館に向かう途中の廊下での会話。私ももう三年生だ。受験もあるし、そんな暇はない。
「今日も練習、張り切って行きますか!」
「おう!」
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「お疲れ様でしたー!」
部室で着替えを済ませて一目散に部室を出る。
「最近、薫早いよねー帰るの」
「なにかあるのかな?」
全力で走り、目的のノヤさんの家に。
「こんばんわ!!」
「あ!薫さん!待ってましたよ!今日もお願いします!」
出迎えてくれたのは同じバレー部で同じリベロのノヤさん。私の方が先輩だが、さんを付けるのはノヤさんの方がバレー経験もリベロの経験も上だからだ。
「毎日、よくやるよね?ノヤさん」
「特訓スよ、特訓!」
「特訓ねえー」
今、ノヤさんは自宅謹慎&部活禁止令が出ている。だが、自宅謹慎だからと言って何もしないわけには行かないとのことで隣近所の私がノヤさんの練習に付き合っているのだ。
「自宅謹慎が解けたら、皆に特訓の成果見せてやるんスよ!」
「只でさえノヤさんは強いのにー烏野の守護神は無敵だね」
「薫さんまでその名前で呼ぶの止めてくれよー!」
照れながらも嬉しそうだ。
「活躍、期待してるよ!ノヤさん」
「おうよ!」
今日の練習も終わり、いつも通り家に帰る。
いつまでこんな風にノヤさんと練習出来るのだろうか…。幼い時、バレーを教えてくれたのはノヤさんだった。ノヤさんがバレーの楽しさを教えてくれた。
「彼氏か…」
自分の部屋のベットに横たわり、呟く。彼氏はいないが…好きな人ならいる。でも、ノヤさんは私のことなんてただの練習仲間だ。
「はあー…」