第2章 ~生け贄の少年~
『魔界』でも、彼の『情』を癒せる者は居ない。
広い敷地面積を誇る館に住んで居ても
彼の『情』を癒せる者は、誰一人として居なかった。
毎回の様に捧げられる『生け贄』にも、癒せる者は居ない。
打から今回も、己の『情』は癒せ無いのだと嘆いた。
そんな王の前に、一人の使用人がやって来た。
「王様ー!!後信託が有りましたよ~!!」
「・・・・・・」
「姫、王は忙しいのだぞ。」
「解ってますよ、孫市姉様♪今回の『生け贄』は間違いなく、王様の『情』を癒して呉れる御方ですよ♪」
「・・・そうか。」
孫市と呼ばれた使用人は、王の顔色を伺った。
打が、王は顔色一つ変えずに話を聴いて居た。
「では王様、後信託を云いますね♪」
姫の愛称で呼ばれた使用人は、王に後信託を告げた。
「・・・『生け贄が空から降りし時、汝の情癒されり、破壊の扉閉じられん』だそうですよ♪」
「・・・そうか・・・」
王は其に、顔色一つ変えずに応えた。
「では、私は此で失礼しますね。孫市姉様、一緒に御仕事行きましょ♪」
「解った。では私も此で失礼するとしよう・・・・・・今回は『当り』だそうだからな。」
「・・・・・・」
そして使用人二人は、王の元を離れ仕事に戻った。
其を王は、無言で見送り、其の場を離れた。