第2章 ~生け贄の少年~
其の者は続けた。
「貴方は、死にたくないのでしょ?為ら『魔界の王』に気に入られれば、死なないですむよ?」
「・・・『魔界の王』・・・?」
「市がね?連れてってあげる。大丈夫、市も一緒に逝くから。ね?」
市と名乗る者は、少年を闇に引き釣り混む。
「は、放せ!!オレは、まだ・・・っ、」
「貴方の『願』も、きっと叶うよ?」
「・・・っ、其でも、其でもオレはっ、」
「暇を持て余す『魔界の王』は『情』が餓えてるの。打からー」
ー彼の『情』を癒してあげて・・・?
少年が最後に聴いた声は、闇の中に消えてった。
人間が住む世界から、遥か彼方の地中深くに『魔界の王』は住んで居た。
『魔界』
詠んで辞の如く、『魔の住む世界』
昼夜問わず『闇の世界』の為『時間』と云うモノは存在しない世界。
其に、永年破壊を繰り返した『魔王』が住んで居た。