第7章 ~右目~
「あー・・・綺麗な格好で食事をしながら会話したり、一緒にダンスを踊ったり・・・まぁあれだ、皆で楽しく過ごす場所の事を『晩餐会』って云うんだ。」
「・・・・・・」
「・・・どうした政宗?」
強ち間違っては居ない小十郎の説明を聴いた政宗は、無言で顔を俯かせた。
不審に思った小十郎は、政宗の顔を覗き込みながら問い掛けた。
暫く俯いて居た政宗立ったが、憂いを滲ませた表情で呟いた。
「・・・っ・・・オレに・・・そんな場所は、似合わねぇ・・・只でさえ、手足に枷が着いてんのに・・・今なオレが出たら、小十郎の・・・威厳が・・・下がっちまう・・・」
政宗の可愛らしい悩みに、小十郎は表情を綻ばせた。
嗚呼、何て可愛らしい悩みなのかと。
政宗の生まれ持っての容姿は、他の奴等寄り完璧な作りだと云うのに。
艶の有るさらさらな鷲色の髪、決め細やかな色白の肌、全てを見通す様な黄金色の瞳、潤いの有る桃色の唇、紅く染まりぷにっとした頬、スラッと伸びた手足、手入れの行き届いた爪、バランスの取れたスタイルはパッと見、男とは思え無い体型で、群を抜いて他を魅了する事を政宗は知ら無い。
筵、『晩餐会』の会場に現れた政宗を見た途端、言い寄る輩が表れる。
否、確実と云っても過言では無い。
其位、政宗は美形なのだ。
「そんな事寄り、俺は政宗が心配何だが・・・」
「・・・え?何でオレが心配何だよ小十郎?」
ー・・・自覚がねぇのか・・・
「・・・まぁ、細けぇ話は置いといてだ・・・政宗、会場では俺の傍から離れんなよ。館の住人しか集まんねぇけど、万が一に備えて越した事はねぇし、な?」
「・・・ん・・・小十郎の傍に居る、」
政宗は、小十郎に頭を撫でられながら頷いた。
其を見た小十郎は、勢い良く立ち上がり、政宗を抱え歩き出した。
「・・・こ、小十郎?一体何処に・・・?」
「ん~?政宗が着てく衣装選び。」
突然襲った浮遊感に魚籠付いたが、首元に抱き付いた政宗の問い掛けに小十郎は、落とさぬ様に抱き締めながら応えた。
そして、今に至る。
政宗は只、衣装部屋でオロオロする秤で、小十郎の見立てで着せ替え人形の如く衣装チェンジ、表情を伺うを繰返して居た。
「・・・政宗に合う色合い・・・素材を活かす色・・・紅?違う・・・翠、紫、黄・・・違う・・・何れも活かされてねぇ・・・」