第7章 ~右目~
そんな政宗を御構い無しに小十郎は、政宗の頭を固定し右目に呪文を唱えて居た。
無理に政宗の右目から『蒼閠臚』を取り出して、政宗の身体に影響が出る恐れが有る為の配慮だった。
無論、小十郎と仕手は『破滅の王』が放った一言を信じた訳では無かった。
ーもし・・・俺と同等の、否、其以上の奴が政宗の中に居るなら、政宗の身体に何等影響が出てる筈た・・・彼奴に任せるのは尺打が、背に腹は返られねぇ・・・!!
暫くして顔を放した小十郎は、政宗の顔を覗き込んだ。
頬は微かに紅く色付き、瞳は涙で潤み、唇は唾液で光沢を付け、視線は定まって居らずとろんとして居た。
今な表情をして居たら、男為らば誰しも理性が崩壊して居ただろう。
例え、相手が男で同性だろうと。
云わずもなが小十郎も『魔王』で男打が、其為りに理性は鍛え上げて居た為、免疫力は有る。
有るの打が、相手が政宗為らば話は別に為る。
散々、政宗を組強いて来た小十郎が、理性を押さえ付ける事は不可能に近かった。
小十郎は、飛び切り甘い美声で政宗の耳元に呟いた。
「・・・政宗・・・そんな顔してると、誘ってる様にしか見えねぇぞ・・・?」
「ーーーーーーーーっ!!!!?」
突然響いた美声に驚いた政宗は、顔を目一杯真っ赤にし、小十郎から距離を取った。
そんな政宗の反応に満足した小十郎は、唇元を緩ませて居た。
「・・・クッ、可愛い反応。」
「おっ、きゅっ、みっ、はっ、っ!!!!」
「わりぃ。政宗が可愛くて、付い、な?」
「・・・オレを可愛いって云うの・・・小十郎位だぞ・・・」
ー他の奴等も、政宗が可愛いって云ってけど・・・云わねぇで置こう・・・
「・・・・・・政宗・・・おいで?」
「・・・何も・・・しねぇだろうな?」
「・・・しねぇから、ほら・・・おいで?」
暫く、小十郎の腕の中に行く事を躊躇して居た政宗立ったが、甘える様に小十郎に刷り寄った所は、宛ら猫其のモノだった。
そんな政宗の反応に綻びながらも、逃げぬ様に抱き締めた。
「・・・ん~・・・こじゅ~・・・」
「ふっ・・・可愛いな政宗は・・・」
「こじゅ・・・好き、だ・・・」
「俺も・・・好きだよ、政宗・・・」
「・・・知ってる・・・」
小十郎の首筋に額を刷り付けた政宗は、呟く様に告白した。
其に応える様に、小十郎も政宗の髪に刷り寄りながら呟いた。