第7章 ~右目~
『破滅の王』が破壊した屋根を修理し、気絶した幸村と佐助を担ぎ上げ、室内に移動した小十郎は、睡魔に襲われながら背中にしがみ付く政宗に話し掛けた。
「政宗、身体の方は何ともねぇのか?」
「・・・身体、は何ともねぇけど・・・右目が、熱い・・・」
「右目?!昔の傷が痛むのか!?」
「違、うと思う・・・無くしたモノが、戻って来た、感覚・・・」
「・・・解った。コイツら治した後、部屋で診てやるから、其まで我慢出来るな?」
「・・・ん、有難う、小十郎・・・」
自室に戻った小十郎は、半分堕ち掛けて居る政宗の右目を診た途端表情を曇らせた。
ー此は、どう云う事だ?無かった筈の眼球が出来てる?
「・・・政宗・・・右目が熱い以外、何もねぇな?」
「ん?・・・ん・・・誰かが、寝てる・・・」
「誰かが、寝てる?!」
ー正か、彼奴か・・・!!
小十郎は、辿り付いた真相を探る為、寝掛けて居る政宗の肩を掴み、険しい顔付きで話し掛けた。
「・・・政宗・・・眼を開けろ・・・」
「・・・・・・眼、矢駄、眠い・・・」
「・・・開けろ・・・今直ぐ、」
「・・・矢駄・・・矢駄、開けねぇ、」
「・・・っ、開けろ政宗!!」
「・・・・・・っ!!!?」
痺れを切らした小十郎の罵声に驚いた政宗は、眼を見開いた。
閉ざされて居た右目に宿って居たモノ。
其は
「・・・っ、・・・此は、奴をー」
ー奴を封印した『蒼閠臚』・・・!!!!
『破滅の王』を封印した玉露、『蒼閠臚』が政宗の右目に宿って居たのだ。
『蒼閠臚』は、淡い蒼光を放つ鉱山の一部を加工し、球体にしたモノだ。
“護身用″や“封印閠″等に使用去れるが、加工工程で破損しやすい為、其のまま使用する事は先ず無いに等しい。
打が、小十郎に取ってしてみれば造作も無かった。
破損した破片を圧縮し形を整える工程を繰り返した丈だった。
力を駆使して造り上げたモノ、其が『蒼閠臚』。
小十郎が『蒼閠臚』を使い、『破滅の王』封印したのだ。
小十郎の沈黙に耐え兼ねた政宗が、怯える様に己の右目を隠そうとしたが小十郎に阻止去れて仕舞い狼狽えた。
「・・・小十、郎・・・あの、手を、放して・・・」
「・・・・・・」
「・・・こじゅ、ろ・・・あの、っぁ、」
突然急接近した小十郎の顔に驚き、両目を塞いだ政宗は、右目に感じた温もりに、軽く身体を震わした。