第6章 ~声~
三人はどうやら、貯蔵品を保管する貯蔵庫迄跳ばされた様だった。
「・・・此は、貯蔵庫?一体どうやっ・・・!!政宗!幸村!何処にー」
「ー此に居るで御座るよ佐助。」
「っ!!幸村、無事だったんだ!怪我は?何処も怪我して無いよね??」
「怪我?某は至って丈夫で御座る。政宗殿も、何処も怪我して居らぬ故安心するで御座る。」
「良かった、無事で良かっ、た、」
「何も、泣く事は無かろう。」
佐助は、幸村の放つ無邪気な笑顔に緊張の糸が切れ安心からか涙が止めどなく溢れ出た。
幸村はそんな佐助を、無言であやし付けた。
数分後、泣き止んだ佐助は廻りを見渡した。
打が、政宗の姿は何処にも無く絢爛豪華な貯蔵品が部屋を埋め尽くさん勢いで並べてあるだけだった。
「幸村、政宗は何処に行ったの?」
「隣の部屋で御座る。多分、其の部屋に政宗殿を呼んで居た声の主が居る様で御座るよ。」
幸村が云った一言で、佐助は此の出来事の引き金を思い出した。
政宗が云った、あの詞から全てが始まった。
『・・・声の・・・する方に・・・』
ー政宗を呼んで居た声の主が、此の貯蔵庫に?其って、危険なんじゃ・・・!!?
佐助は直ぐ様立ち上がり、幸村の腕を掴み政宗が向かった部屋に走り出した。
「幸村!政宗と一緒に此所から出るよ!!」
「え?何故、此の部屋から出るので御座るか?!」
「此の貯蔵庫は、王が収集した物を保管する為の部屋!俺等が無闇に扱える代物何て無い!其に政宗は只の人間。人間が扱える代物は・・・」
「何処にも無い・・・!!」
「一刻も早く、此の部屋からー」
佐助が最後まで云い終る前に、政宗が向かった部屋の扉が乱暴に解き放たれた。
部屋から出て来た人物は、政宗だった。
打が、政宗の纏う府陰気が明かに別人其のモノで、佐助は恐怖で顔を強張らせた。
当の政宗は、己の手を只見詰めて居た。
「政宗殿、で御座るか?其とも、別の御仁か?」
「・・・政宗?あぁ、そうか、コヤツは政宗と云うのか・・・そうか、政宗・・・」
「・・・御仁よ、何故政宗殿に憑かれて居るのか御教え頂きたい。」
「憑く?あぁ、悪く無い、悪く無いぞ政宗・・・御前の身体は最高だああぁぁ!!!!」
「っぐうぅっ!!?」
「っか、はぁ?!!」
幸村の問い掛けに無視したモノは、佐助と幸村を天井に叩き付けて鉄壁の壁を破壊して行った。