第6章 ~声~
其の音は、刻々と政宗達の傍迄近付いて居た。
打が、佐助は其の存在に違和感を覚えた。
ー何?奴が近付く度に感じる此の寒気は?!
其のモノが近付く度に、体感温度が一度ずつ下がる感覚が政宗達を襲った。
ー此の寒さは、人間には易しく無いんじゃ無いの?一体王は、何を仕掛た訳?
意を消して音のする方に視線を向けた佐助は息を呑んだ。
其のモノは、生き物とは思えない姿象をして居た。
全身白銀で統一され、霊気を纏い、宙に浮き、闇夜に不釣り合いな存在だった。
幸村が聴いた音は、光と光が接触する微弱の音だろう。
微小の光の粒が接触し光を放つ瞬間に出る音は、選れた聴覚が無ければ聴き逃す程の微弱の音を、幸村は逸早く感知し危険を報せたのだ。
打が、其に感心してる場合では無く、此の危機を早く脱するかで命を左右する事態に陥って居た。
ー早く、此所から逃げないと皆捕まる!!
そう頭では思っても、身体が想う様に動かなかった。
ー動け、動け動け動け動け動け
佐助は何度も身体を動かそうとした。
思考と行動がちぐはぐでも、何度も身体動かした。
ー動け動け動け動け動け動け動け動け動け
巧く行かないジレンマが思考を襲う。
ー動けええぇぇえぇ俺の身体ああぁぁああ!!
頭の中で叫び頭上を見上げた瞬間、佐助の顔が強張った。
何故なら、其所には
ー・・・う・・・嘘、だろ・・・??!
先程迄闇夜を進んで居たモノが今、三人を見下す様にして佇んで居たのだ。
其のモノは女性だった。
長い髪が顔を覆い表情が見えないが、此方を覗き混んで居る様だった。
佐助は恐怖で、政宗を抱き締める腕に力を込めすぎて居た様で、腕の中で政宗が身動ぎして居た。
打が、今の佐助にそんな余裕は無く為って下り、己の顔を凝視する女性の纏う府陰気に呑み込まれて居た。
政宗はやっとの所で佐助の腕から顔を出したと同時に、此方を覗き混む女性の存在に気付いた。
「ーーーーーーーーーーーーっ!!!!」
女性の顔を見た瞬間政宗は声無き声を挙げ、其の声に反応する様に首輪が光輝き、光の輪が三人を包み込んだ。
そして其のまま、其の場から三人が消え去って行った。
女性は、首輪が放った光に能ったと同時に其の場から逃げる様に消失した。
長い眠りから覚醒した佐助は、辺りを見渡した。
其所は、数々の貯蔵品が淡い光を放つ部屋の中の様だった。