第6章 ~声~
体温が異様に高い幸村に密着状態で居る為、政宗の頭が暑さで朦朧として足下が覚束無かった。
佐助は、政宗が倒れない様に支えながら進んで居た。
暫く進んだ辺りで、幸村の足が停まった。
「どうしたの旦那?」
「音が、するで御座る。」
「音?」
「何かが、近付いて来る音、」
「何かがって、もしかして、アレじゃ無いかな・・・ハハ・・・」
「・・・!!?」
後方から聴こえる音に、幸村と佐助は顔を引き釣ったと同時に、政宗を抱え全速力で疾走した。
後方から聴こえた音。
其は、ゾンビ化した狗の大群が走る音だが本物では無く只の幻影。
小十郎が創った侵入者対策の一つで、恐怖心を煽る為の仕掛。
要は只の『子供騙し』で、気紛れで設置去れた代物だ。
暗闇の地下の一ヶ所で、彼等(政宗以外)は力尽きて居た。
「何なの、此はぁ!!」
「侮っては、駄目で御座る、な、」
「大丈夫か?」
「何とか、ね、」
「何処も怪我は御座らぬか政宗殿?」
「ん?気持ち悪い以外は何ともねぇが、此は何処だ?」
政宗は覚束無い足取りで辺りを見渡したが、暗闇以外のモノを確認出来なかった為床に座り込んだ。
「完全に迷子打ね、俺等。」
「迷子以外の二文字が浮かばぬ。」
「・・・御免、オレのせいで、迷子に為って、」
「元から迷子立ったし、余り気にする事じゃ無いかな。」
「うん、御免、」
「ほら、泣かないの政宗。王に逢いたいんでしょ?」
泣き出した政宗の涙を拭いながら、佐助は背中を擦りあやし付けたと同時に、幸村が二人に覆い被さった。
「なっ、何?どうしたの旦ー」
「ー静にするで御座る。」
「誰か、来たの?」
「・・・・・・」
幸村の無言を固定と受け取った佐助は息を呑み、政宗を隠す様に抱き締めた。
ーもし仮に王打として、一番疑われるのが政宗以外の俺等・・・打が、政宗が俺等を捲き込んだと云えば、軽い処罰程度で済むが問題は政宗・・・王が政宗に危害を加えるかは五分五分・・・どちらにしても、俺等に罰が与えられるのは避けられない、か・・・打が
「・・・旦那、覚悟を決めよっか。」
「・・・ウム。政宗殿を護れれば、で御座るよ佐助。」
「ハハ。そうだね、旦那。」
ー離れても、一緒に居ようね旦那。
ー死亡フラグは無しで御座るよ佐助。
打が、例え滅びを撰んでも彼等は政宗を護れれば其で良いのだ。
王の『光』を護れれば其で良いのだ。