第6章 ~声~
謎の声に導かれて遣って来た場所は、地下への入口だった。
政宗の腕にしがみ付いて居る幸村が、何かに脅えながら呟いた。
「政宗殿・・・本当に、此から声が聴こえるので御座るか?」
「解らねぇ・・・打が、微か打がオレを呼ぶ声が聴こえる・・・」
「止めた方が、良いと思うよ?王に殺されたく無いでしょ二人供?」
「・・・ん・・・小十郎に嫌われたくねぇし、戻る・・・・・・っ!!!?」
「っえ?!嘘だろぉ!!?」
「ヌグッ?!一体何が?!!」
幸村同様、政宗にしがみ付いて居た佐助に促され部屋に戻ろうと踵を返した瞬間、政宗の身体が引き摺られた拍子に、幸村と佐助は政宗と一緒に暗闇に引き摺り込まれて締まった。
暗闇の中で覚醒した政宗は、辺りを見渡した。
「・・・此は、何処だ・・・?」
「地下で御座る、政宗殿。」
「幸村!!無事か?!」
「無事で御座る。政宗殿の隣に居る故、安心するで御座る。」
「・・・ん・・・」
右隣から感じる温もりに、政宗は次第に落ち着きを取り戻した。
「・・・俺様も、居るんだけど・・・」
「知ってる。御前の温もり、張と感じる。」
「・・・・・・為ら、良いけどね。」
勿論、左隣の温もりに含め。
「然し、一面真っ暗打な・・・何も見えねぇ・・・」
「地下牢、で御座るか?灯りが無い故、何も見えぬで御座る。」
夜目が利く幸村(半人前のケロベロス)でも、流石に辺りの状況は確認する事は出来なかった。
「此のまま此に居る依り、出口を探すのが先決打ね。ほら、二人供立って。出口探そ?」
「・・・ん・・・探す。」
「王に会ったら、一緒に怒られるで御座る。」
「もう、怒られるのは決まってるんだけどね・・・」
幸村は、得意の嗅覚と聴覚で危険なモノが無いか確認した。
「ム~・・・某の鼻と耳が効かぬで御座る。流石王、侵入者対策も抜かり無いで御座る。」
打が、得意の嗅覚や聴覚を持って仕手も匂いや音が無ければ無意味の代物。
無臭無音の状況下で出口を探すのは、最早自殺行為に等しかった。
「真っ暗で、何も見えねぇ・・・」
「夜目が利く某でも、難易度が高過ぎるで御座るよ。」
「地形が解れば、何とか為るんだけどね。」
三人は、為るべくはぐれぬ様に密着状態で道無き道を進んで居た。
「・・・熱い・・・」
「某は温かいで御座る!」
「政宗我慢して。地下から出る迄の辛抱打よ。」