第5章 ~探検~
次に案内去れた部屋は、所々亀裂が入った扉の前だった。
「此所が、某と佐助の部屋で御座る。」
「・・・うわ~・・・凄いな・・・」
部屋の中に案内去れた政宗は、眼を見張った。
壁の至所に亀裂や壊れた箇所が有った。
どうやら、幸村の突進は日常茶飯事の様だ。
「酷い有り様でしょ?此全部、旦那が壊したんだよねぇ~。」
「某、元気が取り柄故。」
「褒めて無いよ、旦那。」
「ム?そうか?」
政宗は、二人の会話に頬を緩めた。
然し、幸村が放った一言に、政宗は顔を歪めた。
「そう云えば政宗殿。貴殿の部屋は何処で御座るか?」
「・・・・・・!!」
「其、俺様も気に為ってたんだよね。政宗は、何処で寝泊まりしてんのさ。」
「・・・・・・秘密・・・」
政宗は、首枷に着いた鎖を弄りながら応えた。
其を聴いた幸村の一言に、又も政宗は顔を歪めた。
「もしかして、其の首枷を差上げた御方で御座るか?」
「・・・・・・っ!!・・・あぁ、打から・・・」
「其の御方は王で御座る故、案内出来ぬので御座るな。」
「・・・なっ!!?何時から、気付いて・・・」
「最初からで御座る。政宗殿の身体から、王の部屋の匂いが微かにした故・・・当たったで御座るか?」
政宗は、動揺を隠せ無かった。
ーオレと小十郎の関係も・・・まさか、張れて・・・!!
然し、そんな空気を破る可の如く、部屋の空間が歪み出した。
其に気付いた佐助が、顔を歪ませた。
「・・・どうやら・・・王様の御帰還の様だよ、政宗と旦那。」
「王が?」
「何処にー」
「ー・・・此に、だ。政宗・・・」
空間から出た腕が政宗の身体を包み込み、其の腕の主が、政宗の耳元で話し掛けた。
政宗は一瞬、空間の歪みに顔をしかめたが小十郎の顔を見るなり、平気な表情で話し掛けた。
「・・・っ・・・・・・小十郎、御帰りなさい・・・」
「・・・ただいま、政宗・・・」
小十郎は政宗の身体の異変に気付いたが、あえて聴かず易しく抱き締めた。
幸村と佐助は、二人の会話に口を挟まず無言で平伏して居た。
そんな二人を見た小十郎は、政宗の首枷を触りながら話し掛けた。
「政宗、何で今な所に居んだ?」
「へっ?部屋で大人しくしてるの暇打から、館の中探検してた。駄目だった?」
「・・・地下には、行ってねぇな?」
「・・・まだ・・・行って無いけど・・・何で?」