第63章 最終章 『夢の続き』
その日の夜–––––––
夢の中で私はまた、幼い私に出会った
まるで喪服のような黒いワンピースを見に包んだ幼い少女は、自らの肩を抱いて震えていた
私は歩み寄って、フワリと抱き寄せた
そして、こういった
『ゴメンね』と–––––
葵
「あの時、私は自分自身にも、周りにもひどいこと言っちゃった。
『いっそ死にたい』って何度も思った
でも、できなかった
けどね……、今こうやって生きてみるとね、『死にたくない』って思ってるの
不思議、だよね?」
少女は黙って聞いていた
葵
「生きてればいいことあるって、よく言われるあの言葉をけなしたけれど、本当にそうだったよ––––
おかげでステキな人たちに出会えた
あとね––––」
私は、少女にいたずらをするような顔つきで笑い、口元に手を当て、まるで秘密話のように彼女へ耳打ちした
葵
「好きな人も、できたんだ–––」
へへへ、と笑う私
眼を丸めてこちらを見る私
『……バカだね。本当に………ばかだよ、葵は–––』
こちらを向いて泣く彼女は出会って初めて自分の名前を呼んだ
葵
「えへへ………」
『褒めてないんだけど。
………うまくいくと、いいね』
葵
「うん、応援ありがとうね」
辺りが一層眩しくなる
その時だった–––
少女–––幼い私が、私に抱きつき涙ごしにこういった
『わたしは、あなたがスキ』
葵
「私も––––」
笑いあって、手を取り合って
そして私は目を覚ます