第63章 最終章 『夢の続き』
葵
「武田先生に、繋心……、それに、先生」
武田先生
「津田さん、お身体の具合どうですか?」
葵
「あ、だいじょうぶです……。その、心配かけてすみません…」
繋心
「ほんっと、おめーはいつも誰かを心配させてばかりだよなぁ?いい加減、こっちの身がもてねーんだけど」
葵
「うぅ………、ごめんなさ–––」
繋心
「お前はよく頑張った。かっこよかったぜ、最後」
不意に頭に置かれた手のひらに、私は不覚にも泣きそうになる
ぺしっとその手を払って私は精一杯の悪態をついてやった
葵
「当たり前でしょ。なんたって私は、津田 葵なんだから、かっこいいにきまってる」
先生
「そのかっこいい君の顔は今ひどいことになってるけどね?」
葵
「うっ………」
武田先生
「津田さん、僕からひとつ提案があるんです。
君に是非、烏養くんと一緒に彼らを指導していただきたいんですが」
葵
「でも……そんな、恐れ多いです……。それに私、バレーにはもう……」
先生
「私は何も"バレーをするな"と言っただけで、関わるなとは言ってない
ただし、武田さんにも、君たちにもひとつ私からも言っておきたいことがある」
先生は順繰りに私たちの眼を見た
彼らもまた、先生の眼をまっすぐ受け止め、見る
先生
「彼女はもう、運動をすることすらできない。しかし、まあ知っての通りこの子は落ち着かないから、私の代わりに歯止めしてくれないか」
大地さん
「もちろんです」
葵
「なんか、それ、監視されるみたいなんですけど……」
にっこり笑う大地さん
あ、怖い。
でも–––
私はフッ、と笑って「また、よろしくお願いしますね」と言った––––