第63章 最終章 『夢の続き』
口を開いたのは、蛍だった
私どころか、みんなが蛍を丸い目で見る
バツの悪そうな顔で少し目元を細め、しかしその眼ははっきりと私を写す
蛍
「みんな葵がどれだけバレーが好きか、知ってるからでしょ」
ああ、そうか–––
"そう"だったんだ
みんな、ちゃんと私のこと見ててくれていたんだ
葵
「……私、幸せでした………。烏野高校に烏養監督様目当てで男装して入ってみたら、まさかのご不在で……。ショックだったなぁ……
でも、排球部に入ってみんなと練習して、大会に出て、遠征にも行って………。私が今まで出来なかったことを、見れなかったものを一緒にしていくうちに………死にたくないってどこかで思うようになって………
日を重ねるにつれてみんなどんどん成長していって……。私はみんなの成長ぶりに、嬉しくて、ずっと側で見ていたいって、闘っていきたいって……、若を倒せたらっていう野望も現実になるのかなって思ってた………」
日向
「え、しないの?」
葵
「………ふっ、フフッ、あはははっ」
大地さん
「ど、どどどうした葵!」
菅原さん
「気をしっかりっ」
葵
「だいじょうぶです、すみません……。
日向、ごめんね。私に残されたのは、バレーを続けて早死にか辞めてもう少し生き延びるかの、どっちかなの」
日向
「でも、それっておれたちから離れる理由になってないよね?」
葵
「…………」
日向
「別にマネージャーとかしてさ!一緒にいればいいじゃん!なぁ影山?」
影山
「おう」
田中さん
「日向の言う通りだぜ!」
ガラリとまた、扉が開かれた