第63章 最終章 『夢の続き』
「まだボール!!落ちてないッ!!!!」
う、そ………でしょ?
なんで、だって私………
声の出どころへ視線を向ける
そこには––––––––
烏野の部員がいた
葵
「!!」
ハッとして、私はまだ空中で飛んでいるボール見据えた
"まだ"落ちてない
葵
(私は………!!最後の最期で、妥協してしまったッ……!)
足に力を込める
走れ、走れ!!
全力で!
今ある体力全てを注ぎ込んでっ!!!
落下点に私は飛び込む
葵
「うッ………リャアッ!!!!」
片腕をめいっぱい伸ばして
そして、後方––––仲間の元へ送り込んだ
朱鳥
「カバーーーーーーッッ!!!!」
鳴り響く轟音
再来する静寂
そして、思い出したように笛の音が長く響きわたり
今までにないくらいの歓声、喜声、熱気
エンドラインよりも向こうにいた私は、肩を数回上下させてからようやく、勝ったことに実感した
葵
「か、っ……た?かった?勝った………勝ったよ朱鳥ぁーーーーーっっ!!!!」
さっきの疲れはどこへやら。
私は、大親友、朱鳥の元へ飛びつきに行った
文字通り、その通り。
朱鳥
「勝った勝った!!!かったぁーーーーーっっ!!!」
お互い目に涙を浮かべ
顔を赤くして抱き合った
そこへ群がるようにみんなも飛びつき、抱き囲む
ぎゅうぎゅう苦しくて、だけど心地よくて––––
私は、涙で濡れた瞳で会場の天井を仰ぎ見た