第63章 最終章 『夢の続き』
中国人プレイヤーと対峙する
やはり私は低いと思われているのだろうか……
さっきから視線が痛い
葵
「デジャブだなぁ………」
ふっと息が漏れた
朱鳥
「? どうしたの葵」
葵
「ううん、何でもない」
向こうからサーブが打ち込まれる
わっと上がる観戦
試合開始に湧き上がるのは、一昨日と同じ熱気と未来の期待
レシーブが綺麗に朱鳥の手元へ飛んでいく
私達WS(ウィングスパイカー)はいっせいに走り出す
"シンクロ攻撃"
あの合宿で見てきた技術がこうして、試合に生かされる
たまらない高揚感に思わず口元が緩む
ブロックの的が分散される
キャプテンへと渡ったボールは目にも留まらぬ速さで叩きこまれた
短い笛の音
瞬間、1拍置いてから歓声がけたたましく湧いた
今最も脅威のチーム
それが、中国だ
ならば、私達は初めからとばしてとばして、とばしまくって、差をつける
そう、決めたのだ
サーブ権がこちらに移行される
葵
「一発かましますか〜」
合宿中、何本打っただろう
今こそその成果を見せるとき!
意気込み、私はいつものように後ろへ後ろへと下がっていく
数回、床にボールを打ち付けて感覚をシミュレートする
ピッ、となる合図
シンと静まる会場
サーブトスを高らかに上げて、私は走り出す
腕を前後に揺らし、その反動で飛び立つ
目指すはあの、ボール
あの景色
地面を蹴って
高く、高く–––––!
バシンッ!!!