第63章 最終章 『夢の続き』
9月3日––––––
実家から名古屋へ直接行くことにした
お母さん
「忘れ物ない?!」
葵
「だいっじょーぶ!」
お父さん
「おい!どこか調子悪いところはねぇか!?
具合は?!!万全かっ!!?」
葵
「もう、だいじょうぶだよ、お父さん」
玄関先で慌てふためく両親2人
私はふっ、と笑みを零してこう言った
葵
「行ってくるね!」
扉を開け放つ
朝早くの澄み切った空
薄青に灰色の雲
太陽はまだ、東の彼方
葵
「さーってと、電車に乗りますかぁ!」
ぐいぐいと腕の筋を伸ばしながら、私は歩き出した
これが、今日が
葵
「最後………かぁ」
もう、何年だろう
バレーに初めて触れてから……
葵
「最後の舞台………、ぜーったいに勝つぞーーーっ!!」
1人こぶしを空に突き上げる
朱鳥
「ふわぁ………、元気だねぇこんな朝から」
葵
「あ、お、おはよう!」
見られていたことに少し赤面
恥ずかしい……
朱鳥
「はぁわぁあわぁあ………、よし、頑張りますか!」
大きな口を開けて盛大なあくびをひとつ
そして、まっすぐ見据えて彼女は私にこう言う
それに合わせて私も言うんだ
「「ぜったいかーーーーつ!!!」