第63章 最終章 『夢の続き』
葵
『みなさん、こんにちは。あ、もしかしたらこんばんわ、かな?』
そうはにかむテレビの中の彼女
誰もが知っている
これは、メッセージビデオであるということを–––
葵
『えーっと……、みなさんにこれを観て貰っているのは、謝罪と、感謝と、お別れを言うためです』
瞬間、全員が息を呑む
そして、目を見開く
容赦なく彼女はコトバを続けた
葵
『多分、これを観て貰っている時は私はそこに居ないでしょう。
私は、烏野のみんなを裏切って、ワールドカップバレーに今、出場しています。黙っていて、スミマセン………』
俯いていく彼女の顔
そしてか細い声
葵
『許してくださいとは、いいません。どれだけ許しを請うてもきっと、許されないことだと思います………
そして、この大会を出場と共に、私は………』
単なる静寂とは言い難い、緊迫した空気が流れる
葵は、2、3拍置いてから重々しく口を開いた
葵
『私は、バレーを……やめます。部活も……やめます』
大地さん
「なっ………!」
西谷さん
「うそ、だろ………オイ………!」
葵
『私は、結局………生に執着してしまったんです………。あれだけ、バレーで死ねることが本望だと言っていたのに……!
結局、私は………みなさんを、裏切る形になって、しまい、ました…………』
自嘲気味に、嗤って
苦闘に、顔を歪め
彼女は一筋の泪を流し
ポツリ、とこういった
葵
『ありがとう、ございました
さよ、なら………大好きです、みなさん』
微笑み、プツリとビデオは消えた–––––