第63章 最終章 『夢の続き』

そしていよいよ試合がはじまる––––


溢れる熱気
眩しいライト


葵
「………」

高鳴る士気と

未来の期待を込めて–––––






試合開始の合図と共に、私たちは一礼した


・
・
・



向こうの選手はアタックがすごい
物凄い
スピード、パワー、迫力までも兼ね備えている

葵
「負けてやんないよ」

私もそれに張るようにスパイクを決める

試合開始前に、身長低いからって小馬鹿にしたのを後悔させてやるという、意気込みで


キャプテンもまた、絶好調だった
冷静に判断してフェイントを入れたり、一人時間差をしてみたり


キメるたびに沸く喝采と
熱狂的な叫び声

そして独特の応援の掛け声



身体全体がまるで、喜んでいるようだった


朱鳥
「葵！」


少し長めの助走
腕を羽ばたく前の鳥のように上下に揺らして、足に力を入れる

浮いていく感覚
ボールが飛んでくる

白帯とブロックをする向こう側の掌
刹那の光景

だけど、その一瞬が好き



バシンッ！！

と破裂音さながらの音を鳴らして私はボールを叩く
ボールがセンターラインの少し奥に落ちたのと、着地したのはほぼ同時だった

何度目かの相手側の驚きの目を受けながら、私はまたファイティングポーズをとった



葵
「ぃよっしゃッ！！」