第63章 最終章 『夢の続き』
9月1日早朝––––。
私はムクリと起き上がる
さあて朝ごはんは何にしようかなと起きて早々いつも考える
葵
「やっぱり、試合の日はカツ丼だよね〜!」
ぐいぐいと伸びをしながらヨダレをたらり。
葵
「はっ!!豚肉買ってない!!!」
なんだよこれ
なんの仕打ちだよ…
朝から泣きそうだよ………
葵
「いや!ポジティブに考えろ!何事もポジティブシンキングだ津田 葵!!」
1人張り切る午前5時
そうだ
走りに行くついでに買いに……ってそんな時間ないし………
仕方がない
卵焼きでもしよう
そう結論づけた時だった
チャイムの音が鳴り響いた
誰だろう、こんな早い時間に
あ、もしかしてうるさかったのかな……?
うるさくてクレーム言いに来たのかな……??
どうしよう。なんて謝ろうか(泣)
恐る恐るドアを開ける
と、そこには隣のおばさんが立っていた
葵
「す、すみません……う、うるさかったですよね……」
隣のおばさん
「はい、これ」
葵
「へ?」
隣のおばさん
「ムスコの今日の弁当にたまたまカツ入れたから、それの余りよ」
葵
「!! あ、ありがとうございます!!!!!」
ガバリと頭を下げると盛大に頭をドアにぶつけた
ゴンッと鈍い音に鈍い衝撃
隣のおばさんはクスリと笑って「がんばってね」と言ってくれた
なんて人だ!
普段怖そうだとか思っててすみませんでしたッ!
世の中見た目だけじゃないな、と改めて思わされた今日1日のスタート。
さっそくおばさんから貰ったカツ丼をほくほくのご飯にのせていただいた。
葵
「いただきます!」