第63章 最終章 『夢の続き』
『覚悟はできているのかい?』
夢の中で私に呼びかけるのは、私自身
幼かったあの日の、すべてを憎んだ私自身
自分の運命を憎み、身体を憎み、そしてそれでも生に執着したこの人生できっと、一番ワガママで素直で無知だった自分
そんな幼い"私"が私を覗き込んで問う
葵
「うん。後悔はしないよ。だって自分で決めたから」
『そうかな?でもやった後後悔してももう後戻りはできないよ?』
葵
「そりゃそうだよ。けどやってみなくちゃわかんないでしょ?」
グッとおし黙る幼い私
葵
「私、あなたのことがわかったよ–––
あなたは、私で
そして、天使なんでしょ?」
はぁ何言ってんのコイツと言いたげな彼女に私は微笑みかける
葵
「昔読んだ本にドッペルゲンガーっていたの思い出したの
"もう1人の自分"–––
まさに、あなたでしょ?でも、なんか納得いかなかったの。
だって、あなた最初からずーっと『早くしなさい』って急かすんだもん。普通、死んでほしいなら、って言ってもドッペルゲンガーは会えば死んじゃうんだけど……、そんなこと言わないよね?それに私は死んでない。あなたはずっと、私に後悔させないようにしてきた」
眉根を寄せた彼女はそっぽを向く
拗ねているように
葵
「だからね、私はあなたが天使なんじゃないかって、そう思ったんだ!!」
スッ、と白んでいく景色
最後に幼い少女はこっちを見て––––
泣いていた。