第61章 これも運命ってやつかな……?
翌日
定期検診のため、私はまた病院へ赴いた
幼い頃から私の主治医をしてくれている、初瀬川 凛先生
私の宮城への引越しと共にわざわざ着いて来てくれたのだ
だから私は、初瀬川さんを親しみを込めて「先生」と呼ぶ
そして今、その「先生」に睨まれている
怖い怖い
葵
「先生は、医師なんですからもっと温和な顔しないと患者さんに逃げられちゃいますよ?」
先生
「葵ちゃんさ、何か隠してること、ない?」
うわ
今度は超絶いい笑顔ナンデスケド……
ここまで笑顔だと逆に恐怖すら感じてしまう
葵
「ないですよー」
先生
「ウソだな」
ギクリ
先生
「言ったよね?『私にはキミを生かせる義務がある』と」
葵
「………」
先生
「………、今から言うことは、葵ちゃんにとって酷なことかもしれない。だが、私はキミに生きて欲しいんだよ……。そんな歳でこの世を去って欲しくないんだ……」
葵
「………」
先生は先ほど撮った心臓のMRIを机の上のスクリーンに貼り付けた
後ろの電気がその写真の白黒をハッキリさせる
葵
「!……」
先生
「確かに、症状は一般よりマシだがそれでも病は進行する
どんなに安静にしたって、そうだ……。
キミが見ても、わかるだろう?
もう、限界なんだ………」
息を呑んだ
頭に走る衝撃
めまいを覚える
覚悟していたけれど、目の前にすると絶句した
私の左心室は、大きく肥大化してしまっていた––––