第61章 これも運命ってやつかな……?
思い浮かぶのは『死』という単語
先生
「葵ちゃん、代表に戻ったね?」
私は正直にコクリと頷いた
先生
「………、どちらかに絞りなさい
それが生きながらえる唯一の近道だ」
無理だ
私は烏野のチームはましてや、あの代表のチームも好きになってしまった
『もしどちらか選べと言われたら、私は迷わずこのチームを選びます』
いつかのあの言葉を思い出す
途端に胸がきゅっと締め付けられた
9月の頭に、大きな大会がある
『ワールドカップバレー』
四年に一度行われるそれはバレーにおける三大大会のうちの一つだ
そして、この大会で上位二位に入ると翌年のオリンピック出場権がもらえる
毎年日本で開催され、私は2日彼女達と共に戦うことになっている
9月1日に仙台市体育館でアメリカと
9月5日には名古屋で中国と
アメリカは世界ランキング1位
中国は3位
日本は4位
私が呼ばれたのは、オリンピックへの出場権への架け橋にするためだったのだ
まあ、それはいいとして………
先生
「両方とも出るわけにはいかない
どちらかの大会に出て症状が悪化していれば、君にはもうバレーを断念してもらう……」
葵
「じゃ、じゃあ………!
悪化していなければ、春高二次予選に、出られます……か」
先生の眉尻が下がりきっている
わかってる
この写真を見て、ここから症状が進まないことなんて、無いに等しいこと––––
葵
「……やれるだけ、やってきます」
私の声は、震えていた