第61章 これも運命ってやつかな……?
及川 徹–––
初めての青城との練習試合の時日向がつけた『大王様』で通っている宮城屈指のプレイヤー
その名の通り、サーブはえげつないわセットアップはタチ悪いわで……
そう、彼の居るチームは強い
何せ、白鳥沢と当たる常連校なのだから
影山から聞いたのは、そんな及川 徹の"強み"だった
その時はOBの居る大学生との練習試合をしていた
休憩中にメンバーを代え、大学生の中に及川 徹はセッターとして一人で入っていった
もちろん、初対面の人が多数であった
にもかかわらず–––
彼は本の数プレーで『完全に』チームに溶け込んだ
手に取るように、彼にはスパイカーの個性を掴めるようだ
誰からも、どんな奴からも
"100%"を引き出すのは、たとえどんなに時間をかけても難しい
しかし、及川 徹は、例え自分を嫌っている人でも、どんなにクセのある人でも、自在に使いこなす
まさに、"指揮官"
まさに、"司令塔"
彼はよく、人を見ている
研磨もそう
セッターは何かしら人を見ている気がする
及川には何度か助けてもらった
私が『たすけて』なんて言ってないのに、彼は気づいて助けてくれた
日向
「–––で、そのスゲー大王様に、改めてビビっちゃったのかよ影山クンは」
影山
「……––あぁ、スゲービビった」
影山は俯向きそう言い放つ
しかし、顔を上げるとそこには決心した凛々しい表情
影山
「その及川さんの3年間、全部を詰め込んでんのが今の青城で、春高はそれと戦える唯一のチャンスだ。チームとして、絶対に勝つ」
口端が上がる
日向
「うおおお!!打倒大王様ーっ!!」
影山
「俺の台詞だバカヤロー!!」
葵
「あはは……」