第60章 二者択一
「葵!大丈夫?!」
葵
「……っ、はいっ!だいじょうぶ、です!」
息も絶え絶えになりながら、私はなんとか自分の無事を知らせる
この合宿のハードメニューのうち1つがこのロード
毎朝ランニングには行っているけれど、さすがにこのペースにこの距離……
ツライ………
そういったことに慣れているのか、私の遥か前を走る先輩達の足取りはまだ軽やかだった
少しだけ、眉根を寄せる
しかしすぐに考えを振り切って、地面を懸命に蹴った
諦めて、たまるか––––
それ一心に、彼女達の背中を追いかけた
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ようやく1日のメニューが終わり、お布団にダイブしたのは夜の11時
ふと携帯を見てみると、メッセージが届いていた
『一次予選突破!!!』
『相手に2メートルのやつが居て、チョーデカかった!!!』
葵
「に、2メートル?!」
え、2メートルって、2メートル……だよね?
あ、ありえない……
送り主は日向だ
日向のことだから、ウソとかはつかないと思うけど……
葵
(話盛ってるのかな……(笑))
とりあえず、こう打つことにした
『一次予選突破おめでとう!』
『2メートル?すごいね』
するとすぐにピョコンとメッセージは返ってきた
日向読むの早ッ
『おう!ありがとう!!』
『フジクジラと合体しなくても勝てたぜ』
続けてグッ、と親指立ててキメ顔をした人のスタンプが送られる
葵
(ふ、フジクジラ……?)