第60章 二者択一
出迎えてくれた監督と一緒に遠征仲間の元へ向かう
その道中、遠征の目的、内容を端的に伝えられる
はっきり言ってハード
と、誰もが聞けば思うことだが不思議とそんな風に思わなかった
葵
「津田 葵です
よろしくお願いします」
彼女たちと出会った初日にも自己紹介はしたが、念のためもう一度
まだ少し、恐怖は残る
別に彼女たちに何かされたわけではない
中には私を知ってか懸念する人もいるけど、別に今は何もされてないから気にしていない
ただ……
やはり過去の記憶が今私の頭の中で蘇る
二の舞だけは、したくない
「大丈夫だよ。慣れないところで緊張してるんだろうけど、肩の力抜いてね」
俯き加減の私にそう声をかけてくれたのは、一番年上のお姉さん
同い年だと思われる人にも「せやで、一緒にがんばろ」と関西弁で和ませてくれた
途端に私の心はふわりと軽くなった気がした
葵
「ありがとうございます」
にこりと微笑んでくれるメンバー
早くもこのメンバーと一緒に正式に試合に出るのが楽しみになった