第59章 菅原さんの想い
大地さん
「なるほどな……」
ニンマリした表情の大地さん
実に楽しそうである
葵
「なので、私はそういう関係になったこともありません!」
ピシャリと静かに言った
だろうなぁ、そりゃ苦労するわけだ、と大地さんは苦笑を浮かべ言う
その声には明らかに違う意味を含んでいた気がするが、一体何に対してなのかわからない
だから私は考えるのをやめた
葵
「……好きな人ができるって、どんな感じなんですかね?」
大地さん
「それは人それぞれだと思うぞ?
まあ、俺は幸せなことだと思うけどな」
葵
「幸せな、こと?」
大地さん
「そう。相手を好きになるってことは、自分が相手を心から許せるってことだろ?それって、すごいことだと思わないか?」
葵
「………。」
心から許せる相手をできる限り思い出してみた
クロや研磨はもちろん、目の前の大地さんや菅原さん、蛍だってそう、みんな心を許せる
唯一許さないのがいるけど……
大地さん
「言ったろ?人それぞれだって
葵には葵の価値観があるんだから」
葵
「私、結婚できるのかな?」
大地さん
「できるよ、お前なら
優しいからな」