第59章 菅原さんの想い
沈黙を破ったのは、大地さんだった
「あの……、あのさ」
口ごもる大地さんが珍しくて、私は彼の顔を覗き込んだ
葵
「どうしました?」
大地さん
「………」
待てど暮らせど彼は中々言い出さない
しびれを切らした私は、もう一度「どうしたんですか?」と笑いながら聞く
大地さんはとてもいい辛そうに口を開閉し、眉根を寄せたり離したり
葵
「………、大地さんって、賢くて運動も出来て……、正直モテてませんか?」
瞳を覗き込みながらニヨニヨして問う
突然の私からの質問に、彼は目を少し丸くした
大地さん
「いやいや……、そんなことない
どうした、いきなり……」
苦笑いを浮かべ、頭を掻く大地さん
葵
「そうですねぇ、道宮先輩、どうです?」
大地さん
「は?いやいやいや……、なんで道宮が出てくるんだよ
つか知り合いだったのな」
葵
「女子バレー部さん達には色々お世話になってますから」
大地さん
「そういう葵こそ、モテてるんじゃないのか?」
葵
「この学校に生憎ホモさんはいません」
そうじゃない、と笑いながら突っ込む大地さん
付け加えて、どうして男目線なのかと言った
葵
「ああ、私が女として、ですか……
いや〜、私の正体知っているのバレー部くらいしかいませんし……」
大地さん
「ふ〜ん?」
やけに大地さんの表情が何か思うところがある、というかのように見える
今度は私がニヨニヨされる番だったわけだ