第59章 菅原さんの想い
クロ
「またな」
大地さん
「おう、また」
クロ
「葵も、またな」
葵
「うん、またねクロ」
別れの挨拶を交わし、烏野一同は歩いていく
西谷さんと田中さんは涙を流しながら、熱烈なお別れを
行きと同じように、といっても私は電車で来たのだけど、バスで宮城へ帰る
バスに揺られること数十分
あちらこちらで寝息が聞こえてくる
みんな、疲れて眠っているようだ
私は、窓辺に肘をつき顎に手を当て景色を眺めた
「寝ないのか?」
通路を挟んだ隣のシートから、大地さんが声をかけてきた
葵
「疲れてないんで……」
みんなほど動いてないから、と付け足し控えめに笑う
大地さん
「隣、いいか?」
こくりと頷いた
「さんきゅ」と言い大地さんが私の隣の席に腰掛ける
大地さん
「……足の具合は、どうだ?」
葵
「固定したので少しマシです」
大地さん
「そうか……
お前って、よくケガするよなぁ……」
葵
「そう、ですかね?」
大地さん
「そうだぞ
俺が知ってる範囲でも、お前は3回ケガしてる」
葵
「んー?いや、そんなにしてはいないと……」
大地さん
「いーや、してる」
葵
「運動していればケガはつきものですよ〜」
大地さん
「お前の場合、無茶しすぎなんだよ」
葵
「そうですかねぇ…」
流れる沈黙
なんだか、気まずい
「あの……」