第59章 菅原さんの想い
温もりがまだ、忘れられない
抱きしめられた感覚も、覚えている
夕陽を背後に、彼は立ち去っていく
ちらりと見えた横顔は、しかし逆光でよく見えない
––菅原さんに、抱きしめられた
程よくして、私はおもむろに立ち上がった
捻挫した足も、固定したおかげで幾分痛みは軽くなった
––気がする
色々なことがあったな……
長いようで短かった合宿
沢山の人に触れ合い、学び………
(卒業式の言葉って、こんな感じだよね……)
中学の頃の友達が今、何をしているのかは知らない
中学の頃の仲間が今、どこでどうしてるのかも知らない
時間と一緒に人も流れている
1年後、今と同じチームがあるわけじゃない
3年生は卒業し、大学生となる
私は、きっと……
落第とかならないように今頑張ろう。
「津田くーん!出発しますよー!!」
武田先生の声
ひょこひょこと駆けていった