第58章 待っているもの
私と交代で入った田中さんは、サーブで牽制するため端っこを打った
木兎さんが拾う
そして
木兎さん
「俺に寄越せえええ!!一本で切ってやる!!」
とまあ、かっこいいセリフ
赤葦さんは少し思案顔になり、木兎さんへトスを上げた
烏野は、日向、旭さん、大地さんのブロック3枚
そこを木兎さんはアタックする
も、ブロック!
心の中でよしっと喜んだのもつかの間、木兎さんにはまだまだやる気はあるようで
木兎さん
「もう一回だ赤葦ィ!!」
赤葦さんはさっきよりもさらに思案顔、というよりはもはや悩んでる
仕方なしに、と言ったようにトスをまた木兎さんへ上げた
旭さん
「今度こそ止めるぞ!!せーのっ」
対峙する4人
ボールはドカッと盛大に当たった
日向
「あっ?」
葵
「?」
ポロリとボールは梟谷サイドへ落ちた
これで烏野は逆転
赤葦さん
「げっ」
やっちゃん
「い…今のはブロックですかね…?」
潔子様
「…ううん
今のはネット越えなかったみたいだからスパイクミスだね」
なるほど
だから日向、変な声漏らしたのか
梟谷に流れる不穏な空気
木兎さん
「赤葦……
今日はもう俺に上げんなっ……!!」
赤葦さん
「……わかりました」
木兎さん
「……えっ」
えっ、て(笑)
赤葦さん
「じゃあ上げない間に落ちついてくださいね」
木兎さん
「………」
なるほど……
木兎さんは自滅タイプ、か
ということは、ある意味私がしたことは逆効果
木兎さんは士気を高めていくのかー
でも……
赤葦さんと木兎さんって、ホントにどっちが先輩なのかはたまたどっちが主将なのか……