第58章 待っているもの
繋心
「葵」
葵
「あ、繋心」
繋心
「足は大丈夫なのか」
葵
「捻挫だけど……
それってどういう意味の大丈夫?」
繋心
「足もげてただでさえちっせぇ身長をもっと低くさせてないかと思ってな」
葵
「もげるわけないじゃんか!
あとチビって言うな!!」
繋心
「チビとは言ってねぇ」
葵
「〜〜〜〜!
で?何の用?ちょっかいかけにきただけじゃないでしょ?」
繋心
「いや、心配しにきてやっただけだ」
葵
「は、はぁ……
そりゃ、どーも………」
へ、変なの……
繋心
「お前今ぜってー変だと思っただろ?」
葵
「勝手に人の心読まないでくださいます?」
繋心
「そういう顔してんだよ!
もうぜってー心配なんかしてやんないからな!!」
繋心はくるりときびすを返して元へ戻っていった
葵
「おーおー」
その後ろ姿を見て私はクツクツと笑った
その間に烏野が18点、梟谷が19点と烏野が梟谷と僅差になっていた
「俺のサーブで突き放ーす!!」
コートから響いてきたのはすっかりやる気を取り戻した木兎さんの姿
私はぼんやり彼を眺めた
葵
「はぁー……
立ち直りも早いってわけね……」
コートではーーー
熱くなってきた木兎さんに注意を促す赤葦さん
木兎さんはそのままジャンプサーブを繰り出す
ざんっ
あまりの力強さにネットからバインッと跳ね返っていくバリボー
その端では危うく木兎さんに頭を射抜かれそうになった木葉さん
そして盛大に頭抱え床に膝を突く木兎さん
周りで木葉さん以外の3年生達が木兎さんを落ち着かせていた
そのやり方がまた獣を鎮めるかのようだったけど……