第56章 わたしたち
夜は更けていく
開け放たれた窓からは、少し涼やかな風を熱気した教室をかすめていく
カーテンが揺れる
そして、4人の少年少女の眼光も揺れている
もう何度目かの戦いであろうか
菅原さんは「後輩が心配だから」と抜け、海さんも明日も早いからと抜けた
赤葦さんは床に突っ伏して眠っている
私も眠っていた
澤村
「なあ、気になってたんだが………
お前ら、付き合ってるのか?」
木兎
「お前!抜け駆けかっ!!?ずりーぞ!」
黒尾
「まだ何も言ってねぇだろ
こいつは“幼なじみ”だ」
途中、黒尾の横へ席を移動させた葵は、さんざん黒尾をいじめた挙句、勝ち逃げ、そして黒尾の肩に頭を置いて安らかに眠っている
澤村は黒尾の言い方に少し疑問を持って問うた
澤村
「お前は違うのか?」
黒尾
「………さすが澤村クン
俺は………こいつが好きだ
こいつも好きとは言ってくれたけど、イマイチわかってねぇみたいでな」
木兎
「?? ドユコト???」
澤村
「……大事な人なんだな、お前にとって」
黒尾
「! ………ああ、何よりも大事だ」
そう言って黒尾は肩越しに葵を見て、頬を優しく撫でた