第56章 わたしたち
始まりました、第二回戦
クロが詐欺師ならぬペテン師のようにトランプをきり、カードが配られる
木兎さん
「これ、いけんじゃねーか!?」
私の隣で興奮した声が聞こえる
何事かと思いちらりと横目で様子をうかがうと、なるほど木兎さんの手持ち札が2枚しかない
大地さん
「おい、これ、ちゃんときったんだよな?」
私を含め、木兎さん以外はみんな手元には7、8枚のカードがある
海さん
「悪運、ってやつかな」
木兎さん
「運も実力のうちって言うからな!」
そしてじゃんけん
が、悪運はまだ続く
木兎さん
「ヨッシャ!俺の時代キタね!」
へいへーい!と上機嫌で私のカードをひくと、ペアができたらしく2枚捨てる
木兎さんの手持ち札は1枚しか残っていない
木兎さん
「あれ……、赤葦がこれひいたら俺終わりなのか?」
赤葦さんは無表情で「そうですよ、一抜けですね、おめでとうございます」と言うと木兎さんから残りの一枚をひく
木兎さん
「……………
あーーー!ババがこないババ抜きなんてつまんねぇ!もっと俺はハラハラドキドキしたいわけ!
サービスエースオンリーで24点取っても面白くねーの!!」
ダンダンっ、と両手拳を机に叩きつけいきなりの咆哮
赤葦さん
「ほんとすみません
ウチの、ちょっとアレなんで………」
アレとは……(笑)
木兎ん
「よし!じゃあ王様命令だ!!最下位に俺様の腰を揉ませてやろう……!
ありがたく思えよ?」
菅原さん
「ちょ、ちょっと、いつから王様ゲームになったわけ?」
海さん
「勝てば官軍ってやつだな」
大地さん
「圧政か」
クロ
「俺のシャッフルが未熟だったせいで……」
葵
「クロのせいじゃないよ
私が引かせたカードが悪かったんだよ」
クロ
「やだ葵ちゃん、言ってることは優しいのに笑顔がとてもこわい」
葵
「んー?」
赤葦さん
「絶対に負けられない戦いがある……」