第56章 わたしたち
そして始まったババ抜き大会
私は菅原さんと木兎さんの間に座った
クロ
「えー葵〜
俺の隣座れよ〜」
子供みたいに口を尖らせて言うクロ
なんか、赤葦さんとか菅原さんに驚いた顔されてるんですけど……
葵
「だってクロ泣いちゃうもん」
クロ
「泣かねぇよ!!?」
葵
「あと、動くのめんどくさい」
クロ
「お前は研磨か……」
木兎さんのトランプを器用にきるクロ
木兎さん
「お前なんか、詐欺師っぽいな!」
赤葦さん
「マジシャンって言いたいんですよね」
詐欺師ww
確かに言われてみれば見える
って、どんな詐欺だよ、トランプ使う詐欺って
木兎さん
「それそれ!よし、始めるぞ!!」
手札が配られる
みんながみんな、それぞれの反応をみせる
じゃんけんをし、回る順番を決めていく
最終、赤葦さんが勝ち、隣の木兎さんからカードをひくことになった
木兎さん
「よし、こいや!!」
じゃんっ!と赤葦さんにトランプを差し出す
が、そのトランプの並びが異様だった
どうぞ引いてくださいと言わんばかりに、真ん中の一枚だけぴょこんと飛び出ている
木兎さん
「ホーレ、赤葦
どれを選ぶ?ん??」
赤葦さんの表情は
超がつくほど呆れ顔
いい年した高校三年生がこんな幼稚な方法を使ってくるのだから
私も同じ立場だったなら、そんな表情してるだろう
赤葦さんがその一枚の隣のカードをひこうとした
が、怪訝な顔をする
それもそのはず
だってそれ、ババじゃないですもの……
赤葦さんの表情はいよいよ「めんどくせぇ」と言わんばかりになる
そして、その真ん中を引くどこまでも真摯な赤葦さん
木兎さん
「ワッハッハ!!
いきなりババを引くとはなあ!!」
引かせたんでしょ………