第56章 わたしたち
クロ
「お、まえ……」
葵
「いいんだよクロ
どっちみち、いつかバレるんだから」
微笑んで私はそう言った
そう、時間の問題なのだ
・
・
・
・
かなりの質問攻めにあいながら、ようやく主将会議は幕を閉じようとしていた
のに
木兎さんがポケットに忍ばせていたトランプを勢い良く取り出した
木兎さん
「チックショー!せっかく持ってきてたのに忘れてたぜ」
既に森然と生川の主将たちは自分の教室へ戻った
木兎さん
「あいつらの悔しがる顔を拝みたかったぜ……
よし!残った奴らでやるかーッ!!」
赤葦さんは扉を開けてどうぞどうぞ、気にせず帰っていいですからとみんなを促す
クロが木兎さんの前に立ちはだかった
クロ
「ほう……
心理戦で俺に勝てるとでも?」
クロは得意な挑発的な笑みを浮かべて言い放った
音駒の副主将、海さんがつっこむ
海さん
「彼は心理戦だなんて一言も言ってないよ」
葵
「黒尾くんは私には負けるけどネ〜」
「ふふ………」
後ろで不敵な笑みを零すのは我が高校排球部の大天使、スガエ……じゃなくて菅原さん
菅原
「心理戦ならウチの主将も負けてないよ!」
大地さん
「え、俺が?なんで?」
葵
「確かに強そうですね……」
大地さん
「葵まで……」
困ったように頭をかく大地さん
そこへ、黒尾選手登場
クロ
「烏野の奴らは、みんなすぐ顔に出るからな
ダダ漏れで楽勝だ」
大地さん
「言ったな?
そう言われちゃ、やらないわけにはいかないな」
おお、こわっ
木兎さんは満足そうな笑みでトランプを高々と上げて「よし、やるぞーっ!」と叫ぶ
クロ
「じゃあ、ババ抜きな」
菅原さん
「机くっつけるべー」
扉のそばにいた赤葦さんは少し呆れ顔で「一回だけですよ……」と念押しをしていた
じゃあ、私はこれで――そう言いかけるとまたまた黒尾選手の登場
クロ
「なにしてんだよ葵
お前も座れよ」
私もですか?
当たり前だろと答えるクロの顔を、つねりたかった