第56章 わたしたち
どのくらい打ち合っていたかわからない
どのくらい跳んだのかもわからない
木兎さんが跳ぶたびに私は固唾をのむ
強烈なスパイクが床へまっすぐ向かっていくのを私は毎度ステップや滑り込みをして、なんとか阻止する
しかし、何が一番恐ろしいのかというとこの人のスタミナだ
なんなんだ、この人
日向くらいのスタミナおバカさんじゃない?
葵
「……先輩、これでっ
終わりッスよ!!!」
渾身のジャンプ
自らレシーブし、自らトスを上げたボールが高く舞って、落ちてくる
そこへ私は飛び込んでいく
掌中にうまいことやってくるボール
我ながら、少し感心してしまう
ズダンッ!!!
重い音が体育館に響き渡る
…………はずだった
音にびっくりした私は、瞬間目がボールから逸れ発生地をみる
ぽこん。
頭に着地してバウンドするバリボー
第三体育館の半開きの扉を勢い良くあけた赤葦さんの表情
木兎さんも赤葦さんを見ている
肩で息をしている赤葦さんに木兎さんはにぱーっと笑顔を向けた
木兎さん
「どうした赤葦?
お前もするか?」
深い溜息をつく赤葦さん
何だかかわいそう
赤葦さん
「木兎、さん………
アンタ、主将会議忘れたんですか」
木兎さん
「あ。」
赤葦さんは呆れてまた深い溜息をついた
木兎さん
「やっべー!
わすれてた!
津田もこいよ!!」
よっしゃ、いくぜお前ら!!
と、さっきまでバレーしてたのがウソのように彼は走っていく
赤葦さんも私を見て「いきましょう」といい木兎さんの後を走っていく
赤葦さんまた走ってる
大変だなあ
とか思う前に私の頭はハテナがいっぱい
いや、今主将会議って言ってたよね!?
私、主将でもましてや副主将でもないのですが!?!?
それでもつられて走りだし、前の二人を追いかける足