第56章 わたしたち
やっちゃんに貰ったペットボトル数本を持って、私は体育館を繋ぐ渡り廊下を歩いていた
あちらこちらからボールが床に叩かれる音や怒声、靴が擦れる音が響く
葵
「こんばんわ」
ペコリと頭を下げた
梟谷のマネちゃんずに遭遇した
あちらもこんばんわーと挨拶してくれた
その時
「リエーフ!!!
トス見てから跳べっつってんダロ!!
リードブロック!!」
聞き慣れた声
第三体育館からのほうだ
葵
「三対三をしてるんだ……
ていうか、バランスおかしくない?」
クロ、リエーフ、蛍 vs 日向、木兎さん、赤葦さん
身長差が激しい(笑)
しばらく眺めていると、さっき出会った梟谷のマネちゃんが隣にひょっこり顔を出した
食堂が閉まることを知らせると、六人はさっさと切り上げ食堂へ急いでいった
クロ
「お、葵
お前も混ざりたかったのか?」
葵
「え、ちが――」
クロ
「そーかそーか!
なら今度から誘うわ」
聞く耳ゼロか、この人は
後ろにいる蛍に視線を投げた
僕は知らない、と言ってるかのように彼はふいっと目を逸らした
クロ
「ん?それ、何に使うんだ?」
葵
「これ?
んー、内緒〜」
クロ
「なんだよ、もったいぶんねぇで教えろよ」
葵
「それよりクロ
食堂閉まっちゃうけどいいの?」
クロ
「それはダメだ
俺は行かなくては。」
葵
「ハイハイ」
じゃあねー、とクロの背中に手を振った
誰もいなくなった第三体育館に、静かに足を踏み入れた