第55章 そして少年少女は気付かされるだろう
葵
「……なんだろう
今、物凄い雄叫びが聞こえた気がする……」
研磨も聞こえたようだけど、素知らぬ顔でゲームに没頭している
私もまた、ゲームに集中した
葵
「ねぇ、研磨」
研磨
「なに?」
葵
「もしも、凄く仲のいい異性に告白されたらどうする?」
研磨はゲームから顔を上げ、私の顔を見た
研磨
「おれは葵以外にそういう人いないから、わからないけど……
それって、クロのこと?」
研磨は昔から、何でもお見通しだった
研磨が自分から顔を覗きこんでくるときは決まって、何か見通しているとき
私は素直に頷いた
葵
「クロね、私が笑ってられるなら、それだけでいいって言ったの
私、告白とかされたことないから何て言えばいいかわかんなくて、結局何も言えなかった……」
研磨
「葵は、クロがキライなの?」
葵
「好き
でも、この好きがどういう好きなのかはわからない
幼馴染みとしてなのか、異性としてなのか
研磨も、烏野のみんなも、みんな好き」
研磨はふわりと笑いながら、ありがとうと言ってくれた
研磨
「おれも葵が好きだけど、異性としてじゃないのは分かるよ
葵は、おれの……妹みたいな人だから」
葵
「研磨……」
研磨
「おれ、葵の好きな人
知ってるよ」
葵
「え………」