第55章 そして少年少女は気付かされるだろう
「プライド以外に 何が要るんだ!!!」
同時刻、そう叫んでいたのは山口 忠
彼は、幼馴染みの月島 蛍に訴えた
昔々、彼はいじめられていた
そこへ、月島はこういったのだ
『カッコ悪』
彼は思った
誰に向けられた言葉かもわからないけど、それでも自分の脅威であったいじめっ子複数に一人でそれを言えることがカッコイイと
羨ましいとさえ
そして、自分もこんな風になれたらいいなと
そんな、かっこ良くて自分の憧れの人物が今、逃げているように山口の目には見えていた
月島と日向は同じポジション
同じ、ミドルブロッカーで月島には日向には持っていないものがある
なのに、月島は日向とは対等に渡り合おうとしない
むしろ、勝てないと諦めているような気がする
それが凄く、山口には嫌だった
しかし、幼馴染みだからこそ、多くの時間を共に過ごしたからこそわかるものがある
月島は、何もバレーが嫌いではないことを
そして、月島がどうしてああなのかを
山口は自主練を一旦中断させ、烏野の部屋へと戻っていったであろう月島の背を追いかけたのだった
「ヅッギィィィイイイ!!!」