第55章 そして少年少女は気付かされるだろう
そんな大エースの大きな背中を見て、私も負けられないと言った気持ちが湧いてくる
なので当然、私も試合に参加したいと思うわけで
つまり私はフラストレーション溜まりまくり
菅原さん
「どうした?葵
そんなムスッとした顔して」
笑いながら菅原さんが言った
葵
「怒ってるっていうわけじゃないですよ……」
わかってる、と彼はまた無邪気に笑う
ああ、これだけで癒やされる……
私は思っていることを菅原さんに話した
脇役でもいいと言っておきながら、試合に出たいと思うこと
その矛盾が、悩みのタネになったり、自分にイライラしたり
菅原さん
「葵は、俺となんか似てるな」
静かに聞いてくれていた先輩の真剣な横顔が、こちらに向き、笑顔になる
胸がドキリとなった
菅原さん
「俺も、チームが勝って、多く試合に出られるようになってほしい
だから、3年だからと言って俺を出してくれるんじゃなく、俺より強いやつを出してくれと言った
けど、それでもやっぱり出たいと思うよ」
菅原さんの横顔は、少し寂しそうで悲しそうにも見えた
菅原さん
「あ、負けちゃったか……
ほら葵!ペナルティー行くべ!」
笑顔で私に言って、ぐいぐいと腕を引っ張る菅原さん
葵
「あ、え…… ……はい!」
私も答えて腕を引かれて菅原さんと一緒に向かった