第54章 境界線
しばらくして、私は暇を覚えた
髪の毛は短いため乾き始めてはいるが、肝心の服はまだまだ乾かない様子
こんな天気のいい陽だから、外に吊るしてもまだ乾いていない
なにしようかな、と辺りをキョロキョロする
携帯でもさわろうかな
携帯は確か、烏野の部屋の自分のカバンに突っ込んだままだったかな
そういえば、ずっとサイレントにしてたから連絡とか来てたらどうしよう
なんて、考えながら立ち上がった
「!……びっくりした
葵、そんなカッコでウロウロしたらダメ」
廊下に出た矢先、出会ったのは研磨
そして、その後ろには日向とリエーフ
私と同じように着替えに来たのだろう
日向
「てるてるぼうずみたいだな!」
リエーフ
「女子がやったら萌えるってやつですよね!研磨さん!!」
はやし立てるリエーフを珍しく研磨がジト目で睨む
研磨
「葵、ジャージの上だけのカッコはダメ」
葵
「? どうして?」
研磨
「どうしてって…………
その、……色々と、心配…………だから」
葵
「? よくわかんないけどありがと!」
ニコリ笑って、私は烏野の教室へ向かった
今考えれば、別にクロのジャージ借りなくてもバッグには着替えが入ってるわけだし、良かったんだけどね
でも、……もうちょっとこのままで居ようかな?なんて……