第54章 境界線
クロ
「死んだら、意味ねえだろ……」
葵
「……だいじょーぶ!
それまでは頑張って生きるから!!」
クロ
「その後も頑張って、生きてくれよ」
葵
「………クロは、いつも優しいね
顔は三白眼で怖いくせに
私、クロが好きだよ
クロの優しいところ、大好き
私、いつもクロの優しさに甘えてばかりで……
何一つクロにしてあげられてないね
ごめんね」
ニコリと微笑みかけると、身体にかかる重みと体温
驚いて目を見開く
遮光カーテンがオレンジ色しているのがクロの肩越しに見えた
クロが私を抱きしめている
クロ
「そんなこと気にすんな
俺は、お前が生きてて俺の前でいつもみたいに笑ってくれたらそれでいい
俺も、お前が好きだよ」