第53章 アンバランス
葵
「………?? 蛍?ちょっと、大丈夫?」
蛍が少し遠くを見つめながらボーっとしている
彼にはまだまだ何か思い悩むことがあるのかもしれない
まあ、そういう時期ですものね
次に、後ろから物凄い足音が響いてくる
振り返り見ようとしたところで、大きな両腕がまさに迫ってきていて誰だか確認できずにそのまま謎の人物に飛びつかれる
葵
「うわっ」
あつい
もう、気温だけでも暑いのに飛びつかれると余計暑い
「お前!!期待の星だったんだな!!!」
あ、この声知ってる
昨日聞いたことある声だ
確か名前が――
あれ?ちょっとまって……
今、なんて――
「「「えっ?」」」
この声、木兎さんですよね、うん
そして今言ったのって、あれですよね
私の異名、ですよね
葵
「って、え!?
ち、ちがいますちがいますちがいます!!!!
僕は、オトコです!」
大地さん
「そ、そうだぞ!
葵はれっきとしたオトコで、烏野のバレー部だ、木兎」
菅原さん
「そうだべ!!
葵は男だから!」
木兎さん
「? でも、黒尾がそう………
なあ?赤葦??」
赤葦さん
「木兎さん、俺に振らないでください
それと、黙ってたほうがいいですよ」
葵
「クロ、どういうつもりなのかなぁ?
なに、私に怒鳴られたからその仕返しのつもり?
だったらそんな汚いマネしないで堂々と私に言ってきたらいいじゃない!」
クロ
「ちょっとまてよ
俺は仕返しのつもりで言った訳じゃねえよ」
葵
「じゃあどういうつもりなの?
口が滑っただけ?」
クロ
「そうだ」
葵
「だったら対処はあるでしょ!?
口止め―ゲホッ!ゲホッ!!ック………」
クロ
「おい!葵――」
葵
「来ないで
クロが、そんな奴だとは思わなかった」